2006年5月24日水曜日

「モノに執着しておれば格差に目が行く」(日本経団連奥田碩会長)



昨日の「クロ現」で奥田会長が 格差問題に触れて。名言だな。

「その人個人の価値観で成功し たかどうかを計らねばならない。金銭的な側面だけを取り上げて云々する人こそ“弱者(心が貧しい人)”だ」とも。国谷アナが目をむいていたが、彼女には ちょっと難しすぎたか。

個人の価値基準を測る尺度がしっかりしていないので、 何でもかんでもお金に換算してしか計れない人が増えていると言うことか。それを利用して政治的な野心を満たそうとする人もいるから、国民はどんどん煽られ ている。

しかしここで大切なこと。金銭的な格差論議は不毛だ が、金銭的な損得論議は大いにするべきだということ。お金の値打ちはみんなそれぞれで違うものの、誰かが誰かをボル、誰かが誰かにボラれるというのは、社 会的正義の問題であるからだ。格差論議とは関係ない。

Posted: Wed - May 24, 2006 at 03:30 PM   Letter from Yochomachi   名言(迷言)集  Previous   Next   Comments (10)  

2006年5月8日月曜日

隠居小屋ではオオムラサキが満開



山中湖から帰ってくるとオオムラサキがお出迎え。

 

ザクロの葉っぱも出そろった。ツタ(ナツツタ)がすごい勢いで伸びていてジャングル状態。東京の自然もなかなか捨てたものではない

ロンドンの勝野康友さんにお教え頂いた「気を遣う」と「気を配る」の違い



東京を十日あまり離れていた間に自宅にファックスが入っていた。勝野康友氏がお亡くなりになったという。4月29日、享年69。

勝野さんについて散人が知るところは、東京大学教養学部をご卒業後、住友商事に入社。以後鋼管貿易部のエリートとして大活躍された人ということ。散人が鋼管貿易に入った時には、勝野さんはロンドン支店の鋼管担当責任者として、雲の上とも言えるエライ人だった。何せ非米系メージャー石油会社が買い付ける鋼管類の買い付けを一手に対応する現場の大責任者であったのだ。イラク、イラン、中東、アジア、南米など石油会社のオペレーションの資材購入のほとんどをロンドン支店が(つまり勝野さんが)ハンドルされていた。ものすごく頭がいい人という印象で、実際とてつもなくシャープだった。実績は素晴らしいが、同時に彼に嫌われてしまった人も多くいた。とても怖い人だったのである。

でも、世界の流れは、メージャーオイルの資材集中購買という伝統的な方法とは逆に流れていた。各国の石油資源はどんどん国有化され、資材購買はどんどん現地化して行ったのである。しょせん、メージャーオイルの集中購買に依存するロンドン支店の商権は小さくなる一方。その点、米国でのローカル商売に徹していた米国出先の扱いは安定的だった。結局、勝野さんは、鋼管ビジネスでの花形の地位を米国土着ビジネス担当者に譲ることとなる。グローバリズムがローカリズムに敗れたとも言える。その後ビジネスの第一線を退かれ、本社部門の広報室長となられる。本人としては不本意なことだっただろうと思う。でも、広報室長としての活躍も驚異的な物だった。「広報は営業」。その精神で素晴らしい実績を上げられた。会社のマスコミ注目度も飛躍的に向上した。

広報室長で居られた頃は、調査部にいた小生の隣で執務されていた関係上、いささか近い距離で勝野さんをお見受けした。悠々たるご執務ぶりは実に立派だった。みんなが緊張してしまうワシントンからの大物の来訪にも実に巧みに対応していただき、僕らは面目を施した。

そんなことよりも、散人個人にとってとても印象深いことがある。散人が中南米某所で駐在していた際だがいささか精神的に参っていた時があった。その時、勝野さんが出身元の東京鋼管貿易部の部長として現地に出張してこられた。実にうまく関係者との確執を取りなしてくれた。その後、勝野さんが小生を食事に誘ってくれたが、その時の言葉が今も忘れられない。「人間『気を遣う』ということと『気を配る』ということは違うのだ。君は『気を遣って』いるけれど『気を配っていない』」と言われた。

いまだに小生は「気を遣う」ばかりで「気を配る」のは苦手だ。でも、その二つの違いは理解できるようになったのは、勝野さんのおかげだ。ご冥福をお祈りしたい。

2006年5月5日金曜日

『草刈る人』(玉村豊男)……日本農業の実態はこれでわかる



おフランス留学帰りの東大仏文卒エッセイストの玉村豊男は、今や5000坪の田畑を所有するれっきとした地主。作男を使って悠々自適の生活だ。その農村生活をエッセイに書いてまた儲ける。でも質の高いエッセイであることは事実。

この本を読んだ:
草刈る人
草刈る人玉村 豊男

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日本の農村と農業を知るにはとてもいい本。さすが仏文卒。日本農業の本質的なところをよく書いている。

玉村豊男は文化活動にいろいろ忙しい人なので、この長野県の農園には常駐はしていない。だから耕したり作業をするのに作男(ほとんどは若い女性らしいから作女か)を7〜8人、常勤で雇っているとのこと。それに加えて休みになると「俺も農作業をしてみたい」という知人がわんさかやってくるので、これらの「季節労働者」をただで使っている。かなりあくどいな。

5000坪の農地を持つことで「ようやく平均的な農家に成れた」とのこと。たかが1・6ヘクタールだろう。飛行機を使って種を蒔くのが常識となっている国際スタンダードから見れば、極度に生産性の低い零細農家そのもの。それで作男(作女)を7〜8人雇えるだけの収入があるというのは、どう考えてもおかしい。保護政策により日本の農産物価格が異常に高いので、こうした経営が成り立つのだ。考え込んでしまった。玉村豊男は「農業とは一人で完結する作業で達成感がある」というが、いかにピン工場の生産性が分業によって飛躍的に向上したかを書いたアダム・スミスの「国富論」を読み直すべきじゃないか。

それにしても「ただでもいいから農作業をしたい」という人たちがこんなに多いとは驚き。昨今のロハス・ブームに躍らされている人が多いということ。おかげで零細地主でも左うちわ。このままでは、日本は340万人の地主有閑趣味階級を抱えることになる。

2006年5月2日火曜日

田舎暮らしの参考書いろいろ



いろいろノウハウを仕入れなくてはいけないと思って山中湖情報創造館(図書館)でお勉強の本を数冊借りた。参考になったこと多々。

1)田舎暮らし虎の巻(佐藤彰啓)
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「田舎暮らしをしたい人、これからする人、必読の101条!」ということらしい。こまごまとやってはいけないことが羅列してある。まるでモーゼの10戒だが、10どころか101もある。要は田舎のルールを守らないと生きてはいけないということをおどろおどろしく書いてある。気になったのは、やたら別荘地を敵視していること。別荘地は寒冷地にあることが多く冬は住めないとか、中古案件は玉石混合でいい物件も趣味性が強すぎるだとか、夏場はちゃらちゃらした若者が多いとか、景色がよくっても意味がないとかいろいろ。すべからく、農地、それもコメが採れる地域の農地を買って、地元の工務店で建築し、地元の食物を食べて、地元のルールに従って暮らせ、そうしたら地元に溶け込んで幸せになるという。でも別荘地は寒すぎるから駄目だといいながら、東北とか北海道の農家は暖房性能がいいので零下20度ぐらいになっても暮らしやすいとかいっているし、地元のルールを守れば大丈夫だといいながら、最後の方に地元のルールを守っても住民に受け入れられるのには親子三代かかるとか書いてあるし、矛盾する個所がいろいろ。いったいどういう人が書いたのか見てみると、農村雑誌「家の光」の編集者をしていて農水省の委員会の委員を務められているエライ人。はは〜ん、わかった。農村の立場からの視点なのだ。

2)田園生活の教科書
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これは、カナダ仕込みの具体的なノウハウがいっぱい。熊とかイノシシとの戦い方も書いてある。でもちょっと道具に凝りすぎ。狩猟と釣りが好きな人にはいいかも。除雪機とかチェーンソーとかの工具の説明も本格的。これ全部そろえたら、破産するわ。

3)週末・八ケ岳いなか暮らし

これ以前借りて読んだ本だった。ここに書いた。二度借りするとは惚けはじめだな。


4) 田舎暮らしはつらかった(渡辺瑠海)
田舎暮らしはつらかった
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ははは、女性単身の田舎生活を始めたら一挙に8キロも肥ってしまったそうだ。ストレスによるやけ食いのためだろうか。この人もうじき東京に帰ってくると思う。


いろいろ読んでの感想。田舎暮らしをするなら山中湖が一番いい! 

理由:
  1. 東京から近い。
  2. 夏涼しい。
  3. 自然が美しい。
  4. 冬は天気が良く富士山きれい。零下17度もストーブがあれば平気。
  5. 適度に都会。住民が都会的でスマート(コメが採れないからかな)。ムラ社会に入らなくても生活できる。
  6. 社会インフラが整備されている(水洗化率99%、無料駐車場がどこにでもある、図書館がいい、レストラン・美術館多し)
  7. 虫が少ない。ちょっと上がると夏でも蚊がいない(網戸不要なくらい)。水が溜まらない土壌だからか
  8. 俗悪な店がない(たとえばパチンコ屋なぞ)
  9. 管理業務などの生活サポートサービスが整備されている。
  10. ホテルの食事の出前も頼める。
  11. JRが来ていないので、観光客が比較的少ない。
  12. ヨットもできる。

田舎暮らしにあこがれながら、たいへんそうだな〜と尻込みしている人。本当の田舎などの怖いところではなく、山中湖がいいと思うよ。